AGI 511

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知り合いからAGI model 511と言うアンプを貰った。なんでもこのアンプはプアマンズ・レビンソンと言われていたらしく*1、評価はそれなりに高かったようだ。

しかし残念ながらこの個体は電源をつけても直ぐにヒューズが飛んでしまい使いものにならない。直せるか不安だったのだが、一ヶ月ほどオーバーホールに取り組んでみた結果、無事に音が出た。

 

AGI model 511とは

アンプのハイスピード化の課題に問題意識をもって取り組んだAGIのデイヴィッド・スピーゲルが、その研究の具体的成果として発表したコントロールアンプ。
過渡応答のあまり速くないパワーアンプとの接続においても相互変調による歪が生じないよう回路的工夫が加えられています。また、低出力インピーダンスと余裕のある出力により、負荷側の様々な条件に対する大きな適応能力を得ています。

このサイトによると販売されていたのは1978年~。この個体がいつ買われたものかは不明だが、少なくとも私が生まれる前に作られたものだろう。基盤がホコリにまみれているのか、コンデンサは膨らんでしまっているのか、ドキドキしながら開けたが、意外なほどに中は綺麗だった。

 

電源回路の修理

まず電源周りを見てみると、基盤の左下にある抵抗が焼けていた。そこで整流ダイオードの導通を確認したところ、6つあるダイオードの1つが壊れていることが分かりった。整流ダイオード1N4002は現在も売られているので、若松通商で交換部品を購入し、全数交換した。また焼け焦げた33Ωの炭素皮膜抵抗と、その隣にある0.47μF 100Vのセラミックコンデンサーを交換した。

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他にも整流回路のコンデンサーの容量抜けを確認したのだが、こちらには大きな異常はなかった。コンデンサーは消耗品なので、この機会に全部交換してしまおうか悩んだが、Spragueのコンデンサーを交換するのが忍びなく全てそのままである。壊れたら替える。

 

オペアンプも故障していた

電源回路の修理により、ヒューズが切れることはなくなった。また抵抗が焼けたりコンデンサーが破裂する様子も見られなかった。「これは直ったな!」と思い意気揚々と音声のチェックに入ったのだが、しかし、左チャンネルから音が鳴らなかった。

頭を抱えたが、目で見える異常がなくなった以上、あとは回路を追って異常箇所を見つけるしかない。テスターを片手に各部の電圧を計ると、初段部の前後で値が変わることが分かり、どうやらソケットに刺さった部品が原因であることが分かった。実際、この部品を左右差し替えることで右チャネルの音が出なくなることから、この部品が原因だと言うことが示唆された。

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しかしソケットに刺さってるこの丸い部品、これが何だか分からない。回路図があれば一発で分かるのだが、ネットをいくら探しても見つからない。仕方がないので過去の修理事例の写真を目を皿のようにして見たところ、他の個体では四角い形のオペアンプが刺さっていることを見つけた。昔のオペアンプは丸い形なのか、知らなかった。これを手持ちのOPA134に交換してみたところ、無事に両方のチャネルから音が出るようになった。

 

他のオーバーホール箇所

1.オペアンプにOPA627を使用
AGI 511で使われていたオペアンプはLM318またはLF357のようだ。LF357も購入したが、現在はOPA627を刺している。

2.RCA端子の全数交換
AGI 511はRCA端子が弱いと言われている。端子が基盤に直付であること、また絶縁プラスチックが経年変化することが問題のようだ。

AGI 511

 

3.フラットケーブルの補修
このアンプのRCA端子と基盤を繋ぐケーブルはなんとフラットケーブルである!そう、PCなどで使われているアレだ。オーディオ機器で使うのは珍しいと思う。経年劣化して剥がれてきていたので、ビニールテープで脇を留めて補修した。

 

4.電源ケーブルの交換
電源ケーブルも金属部分がヘタっていたので、新品に交換した。3Pソケットをつけるにはシャーシの改造が必要なので、素直に2Pのケーブルに交換した。

 

5.ボリュームつまみの購入
この個体にはボリュームつまみが一つなかったので、代替品を探した。AGI 511のボリュームシャフトはよくある6.0mmではなく6.3mmなので注意が必要だ。幸いマルツwebショップによく似た大きさのつまみが有ったので、これに交換した。

 

修理後の外観写真がこれ。ボリュームがつくと古いロボットみたいだ。電源ランプが緑色なところがキュート。

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このアンプには木製ケースもついていたらしいが、私が貰った時にはなかった。時間ができたら自作しようと思う。

 

修理のために買ったもの

温度が手元で調節出来る半田ごてに新調した。交換用のコテ先は広い面積を熱しやすくて良かった。良い道具は作業効率を上げる、これは間違いない。

 

デジタルテスターも新調した。前のものは500円くらいだったので…。色々計れて素晴らしい。見た目が好き。

 

また秋月で1,000円程度で売っているコンデンサーの容量計を買った。古いアンプの故障はコンデンサーの容量抜けが殆ど。今回もそれに違いないと思って意気揚々と購入したのだが、全てのコンデンサーの容量が正常だった。少し悲しい。

 

終わりに

自分が生まれるより前に作られた製品を現代によみがえらせることが出来て非常に嬉しい。自分が死ぬまでこのアンプを使い続けることは出来るのだろうか。半導体やコンデンサはともかく、鬼門はスイッチの摩耗だと思った。現在、この機器は弟が使用している。